言葉が通じなくても、なんとなく相手の言っていることがわかることが少なくない。外国に長くいるとこの勘が磨かれ、相手はたぶんこういうことを言っているのだろう、と見当でうなずくことが習慣になってくる。しかし、それはあくまで見当であり、見当違いだったということだって当然ある。
以下は、日本語ができない中国人Aさんと中国語ができない日本人Bさんのある日の会話である。
Aさん(窓を指差して)「窓が汚れてますね」
Bさん「曇ってますね」
Aさん「掃除のおばさんにしっかり拭くように頼んだんだけどね、まだ汚れてますね」
Bさん「最近ずっと曇ってますね」
ふたりともうなずきあう。
声さえ聞こえなければ、ふたりのコミュニケーションには何の問題もなくみえるのだが・・・。